意外と知らない!? 役員給与と税金の関係
【役員給与の賢い決め方・前編】

「役員給与はいくらに設定すればいいの?」と、多くの経営者からご質問を頂きます。直近の業績や将来の投資計画といった会社の状況に加え、経営者ご自身のライフプラン等、様々な要素を検討する必要がありますが、その中でも特に専門的でわかりにくい税金面の考え方を前編・後編に分けてご紹介していきます。

会社の利益の状況と役員給与のバランスが重要

会社が利益を出していれば、その貢献に応じて経営者の方に多く給与を支給することは至極自然でしょう。しかしながら、役員給与にはもちろん所得税が課されます。従って、役員給与を多く支給するほど、経営者の方が支払う所得税も上がります。
一方で、役員給与は会社にとって経費となりますので、役員給与を多く支給するほど法人の利益は圧縮され、結果として会社が支払う法人税は少なくなります。
つまり、役員給与と法人の利益はどちらかが増えればどちらかが減る関係にあり、それに連動して所得税と法人税も変化します。従って、会社の利益の状況と経営者の給与のバランスが重要です。

役員給与と所得税、会社の利益と法人税の関係
役員給与と所得税、会社の利益と法人税の関係

法人税と所得税で異なる税率

次に、中小企業の法人税率を見てみましょう。年間の利益(所得)のうち、800万円以下については15%、800万円を超える部分については23.2%です。つまり、どんなに多くの利益を出しても、法人税率の上限は23.2%です。
個人の場合はどうでしょうか。個人の所得税は「累進課税」と呼ばれ、所得が低い人ほど低い税率で、逆に高い人ほど高い税率で課税されます。例えば、年間の所得が500万円の場合には所得税率は20%ですが、2,000万円の場合にはこれが40%になります(所得水準と税率に関する詳細は、国税庁のホームページをご覧ください)。
つまり、個人の所得が低い場合には「法人税率>所得税率」ですが、個人の所得がある程度の水準を超えると「所得税率>法人税率」となります。

最適な金額の算定にはシミュレーションが不可欠

役員給与を決めるにあたっては、「役員給与と法人の利益のバランス」と「所得税と法人税の異なる2つの税率」の2点を考慮する必要があることがわかりました。つまり、一般論としては、経営者の給与と会社の利益のどちらか極端に偏りすぎないように給与を設定することで、経営者個人の所得税額と会社の法人税額の合計を低く抑えることができると言えそうです。
しかしながら、実際には会社の状況や経営者のライフスタイルは千差万別であり、最適な金額を一律に決めるのは困難です。各社の状況に応じて必ずシミュレーションを行う必要があります。

後編では、今回お伝えした内容をもとに、具体例を用いて最適な役員給与の出し方を確認していきましょう。

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吉川 周佑(よしかわ しゅうすけ)
この記事は私が書きました
吉川 周佑(よしかわ しゅうすけ)さん

税理士法人SkyWalk代表。公認会計士、税理士、中小企業診断士。電力会社、大手監査法人を経て2012年リクルート入社。株式上場プロジェクトに従事した後、コンプライアンスマネジャーとしてリクルートグループ全体の内部統制・業務プロセス・リスク管理等を統括。海外大学院でMBAを取得した後、税理士法人SkyWalkを設立。単なる税務サービスの提供に留まらない、顧問先の経営改善や資金調達の支援に強みを持つ。https://skywalktax.jp/

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