シニア世代を狙え! 差別化としてのバリアフリー化計画
【宿泊施設バリアフリー化促進事業費補助金の活用①】

人口減少に伴い、国内の宿泊旅行市場は縮小が進んでいます。しかし、60代の年間宿泊旅行の回数は20代に次いで多く、70代以上が60代の旅行回数を維持できれば、旅行回数の増加とシニア人口増加の相乗効果で国内宿泊旅行市場を拡大させる可能性がある*と言われています。
売上拡大の芽があるシニア世代を取り込むためには、宿泊施設の受け入れ環境が整っている必要があります。まだ十分に対応できている施設が少ない「バリアフリー化」にいち早く着手し、他施設との差別化を図ることで長期的な売上確保を目指しましょう。
本シリーズでは、バリアフリー化の際にぜひ活用したい「宿泊施設バリアフリー化促進事業費補助金」の概要と申請のポイントから、補助金対象箇所の紹介と実際の施工事例を紹介していきます。

使わないのはもったいない
「宿泊施設バリアフリー化促進事業費補助金」

観光庁では、バリアフリー化改修等の費用の一部を支援する「宿泊施設バリアフリー化促進事業費補助金」の2019年度の公募を行っています。自己資金のみでバリアフリー化に取り組むことが難しい宿泊施設にとって、積極的に使わない手はありません。
補助金の対象箇所ですが、バリアフリー化に伴う付帯工事(トイレ工事の際に実施したトイレの壁紙変更に合わせた客室全体の壁紙変更などのイメージアップ工事)は対象外になる場合もあるため、そこは注意が必要です。

2019年度「宿泊施設バリアフリー化促進事業費補助金」第2期の概要
※2019年5月上旬時点での情報です。第1期の公募期間は2019年5月31日までのため、ここでは省略しています

申請から補助金の受取りまで、チェックしておきたいポイント

補助金の情報が開示されてからの申請期間は想像以上に短く、予算の上限に達した段階で打ち切られる場合もあるため、事前の段取りが重要です。申請から補助金の受取りまでを段取りよく進めることができるよう、チェックしておきたいポイントをお伝えします。

「宿泊施設バリアフリー化促進事業費補助金」の申請から受取りまでのステップ
(第2期の場合のモデルプラン)

チェックポイント1:申請の準備
バリアフリー効果の高い計画から認定されていきますので、バリアフリー化することで得られる効果をしっかり伝えなければいけません。また、自施設内のバリアフリー化だけでなく、道路から施設入口までのアプローチをスムーズに行えるようにしていくなど、周りの環境も含めた上での将来計画がきちんと申請書(事業計画)に反映されていることが重要です。
それら申請業務のサポートも含めた相談に、しっかり対応してくれる施工業者を選ぶこともポイントです。規模にもよりますが、申請するまでの準備期間は1カ月程度みておいたほうが良いため、なるべく早めに着手することをおすすめします。

チェックポイント2:工事期間中
補助金の申請が認定され、交付決定通知書を受取ったら着工が可能になります。改修規模によっては縮小して営業をしなくてはならず、その期間の売上減少のリスクは避けられません。施工業者に相談し、工事中も営業できるような動線の確保やスケジュールを設計しておく必要があります。
また、補助金を受取るための工事完了期限があるため、繁忙期を考慮した適切な工事スケジュールを立てておくことが大切です。

チェックポイント3:補助金の受取りタイミング
通常は工事契約時や着工、完了のタイミングで施工業者への支払いが発生しますが、補助金の額が確定するのはその後です。そして実際に補助金が支払われるのは、早くても工事が完了した3カ月後。それまでは全額自己資金で賄わなければならず、工事期間の売上減も見越して十分な資金調達をしておかなければいけません。
補助金の認定後に計画通りリフォームに着工し、工事後の手続きをきちんと行えば補助金は交付されるため、手持ちの資金がない場合は借入れを行い、補助金交付後に返済する、という方法を検討してみるのも良いかもしれません。

次回は、補助金を活用できる「リフォーム箇所」をご紹介します。事例を参考に、ぜひ「バリアフリー化計画」を検討してみてください。

参考資料
観光庁【2019年第1期公募】宿泊施設バリアフリー化促進事業の公募について
(本記事は2019年5月上旬の情報をもとに執筆しています)

*出典
国土交通省「車いす、足腰が不安なシニア層の国内宿泊旅行拡大に関する調査研究」

取材協力
バリアフリー工事・補助金申請の相談は
住友林業ホームテック株式会社
https://www.sumirin-ht.co.jp/
1988年設立。住友林業のリフォーム事業を担うグループ会社。住宅事業で永年培った総合力・信用力で宿泊施設をプロデュース。全国を70の拠点でカバーしている。

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電話:03-5217-6513(担当/佐藤 健太郎)

2019.5.24

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