美容サロンが「人材採用と育成」に活用したい助成金とは?
【社労士が教える、美容サロンの賢い助成金活用】

美容サロンの経営課題のひとつである、従業員の定着率の低さ。人材難に日々頭を悩ませている経営者の方も多いのではないでしょうか。厚生労働省では、従業員の意欲や能力を向上させ、優秀な人材を確保するために活用できる助成金を多数交付しています。助成金が定着率を向上するための「採用と育成」に使えるのなら、積極的に活用しない手はありません。
今回は、多くの美容サロンの助成金申請をサポートしている社会保険労務士(以下、社労士)の永野 綾さんに、数ある助成金の中でも美容サロンにおすすめしたい助成金の概要と申請における注意点を伺いました。

積極的に活用されている「キャリアアップ助成金」と「人材開発支援助成金」

永野さんいわく、数ある助成金の中で美容サロンが積極的に活用しているのは、契約社員などを正社員として雇用することで受給できる「キャリアアップ助成金(正社員化コース)」と、従業員の研修に活用できる「人材開発支援助成金(特定訓練コースと特別育成訓練コース)」だそうです。
例えば、契約社員で入社した従業員に対して「人材開発支援助成金(特別育成訓練コース)」を活用して研修を実施し、半年後に「キャリアアップ助成金(正社員化コース)」で正社員にする、といったように併用することも可能です。処遇改善や研修によるモチベーションの向上などを目的に活用されているそうです。

「キャリアアップ助成金」と「人材開発支援助成金」の概要

生産性要件とは?】
企業における生産性向上の取り組みを支援するため、生産性を向上させた企業が労働関係助成金を利用する場合、その助成額または助成率を割増する制度です。 ※こちらは2019年度の情報です

おすすめは、働きやすい職場づくりに活用できる「時間外労働等改善助成金」

事務作業の負担が、本業に支障をきたしている小規模の美容サロン経営者は多い」と、永野さんは言います。例えば、手書きの勤務表をタイムレコーダーに変えることで集計時間が短縮され、正確になるため法的なリスクが減ります。そのタイムレコーダーの購入など、店舗の設備やシステムへの投資に活用できるのが、永野さんがおすすめする「時間外労働等改善助成金(勤務間インターバル導入コース)」です。
これは2017年度に働きやすい職場の環境作りを目的として導入された助成金で、経営者だけでなく従業員の業務上の作業負担を軽くすることで残業を減らしたり、創出された時間を研修等に充てたりすることで、従業員の満足度を上げることができます。

「時間外労働等改善助成金」の概要
※こちらは2019年度の情報です

助成金はすぐには受け取れない

当たり前のことですが、助成金にはそれぞれ満たすべき要件があります。インターネット上では様々な情報が飛び交っていますが、それが最新の情報とは限りません。要件は毎年変わる場合があるので、必ず厚生労働省のホームページやパンフレットから正しい情報を取得するようにしましょう。
また、日々の業務に追われてつい申請期限を忘れてしまう経営者の方もいるそうです。期限を一日でも過ぎたら例外なくもらえませんので、申請スケジュールには注意が必要です。
助成金の受け取りタイミングですが、「キャリアアップ助成金(正社員化コース)」は、取り組みを始めてから受給まで約1年半程度の期間がかかります。「時間外労働等改善助成金」を活用して機器等を購入する際は、事前に購入費用を準備しないといけないため、手持ちの資金がない場合は借入などによるつなぎ資金の調達も検討しておくことが大切です。

助成金の申請は容易ではありませんが、信頼できる申請代行先の力を借りるなどして正しく申請さえすれば基本は支給されるものです。採用や教育、職場環境の改善にうまく活用することで従業員の定着率を高めて経営を安定させましょう。

こちらの記事では、活用事例を紹介しています。

取材協力
永野 綾(ながの あや)さん

社会保険労務士法人リタ代表社会保険労務士。
労務トラブルの不安解消、人事労務管理のIT化、助成金の申請等の負担やコストを極力減らした形での実現を目指している。
連絡先:03-6436-7097

2019.7.25

経営ノウハウ