教育熱心な『八丈ビューホテル』から学ぶ
宿泊施設が取り組むべき従業員教育とは?

「おもてなし力」が重視される宿泊業において、従業員の質は宿の印象を左右する非常に重要な要素です。しかし宿泊施設は年中無休営業である上、規模が小さい場合は従業員教育に十分な時間と人員を割くことが難しいというのが多くの宿泊施設経営者が抱える悩みではないでしょうか。そんな中、従業員35名ほどの規模でありながら従業員教育をうまく行っている宿があります。今回は、東京都の離島・八丈島の高台に建つ『八丈ビューホテル』の事例を通して、時間と予算が限られている中での従業員教育の方法をご紹介します。

短期アルバイトのおもてなしレベルが課題

『八丈ビューホテル』では、いわゆる「リゾートバイト」の従業員が約半数を占めます。彼らは2週間~3カ月程度で入れ替わるのですが、短期アルバイトということで「おもてなしをする側」としてのスキルレベルが揃っていないことが課題でした。外部講師を招いた研修を実施したこともありましたが、全従業員のスケジュール調整が大変な上、八丈島という立地柄、飛行機が欠航になって講師が来られないということも度々起こりました。
このような状況の中、宮代さんは従業員が各自のタイミングで学べるものが必要であることを実感したと言います。加えて、各従業員のレベルを「見える化」することも、提供できる「おもてなし」の質を把握する上で重要でした。これらを満たすツールとして、宮代さんは各従業員がスキマ時間にスマホで学べる『パートナーズラーニング』を取り入れることにしました。

羽田から八丈島まで飛行機で55分、八丈島空港からは車で5分。『八丈ビューホテル』は亜熱帯植物が茂り南国の雰囲気が漂う常春のリゾートです。

給与と習熟度を連動させ、自発的な学びを促す

スキマ時間に学べるというと、従業員側から「帰宅後に学んだ時間は時給が発生するのか」という声が出がちです。宮代さんはこれに対して、人事評価制度と教材習熟度を連動させ、「習熟度が一定レベルに到達したら昇給する」という仕組みを作って従業員のモチベーションアップをはかりました。
ここで大事なのは、あくまでも強制はしなかったこと。強制してしまうと、従業員は「学ぶ」ことよりも「終わらせる」ことを目標にしてしまいがちです。宮代さんは「従業員のレベルを上げる」という目的を達成するには従業員が自発的に学んでスキルを身に付けることが必要だと考えたのです。

「求められているレベル」を従業員が理解するように

この方法を始めて半年ほどで、宮代さんは新人従業員に対するクレームが減ったことに気づいたと言います。また、従業員側も求められているおもてなしレベルが認識できるようになったため、どういう接客がクレームにつながるかを理解し、クレームに対する心づもりもできるようになったそうです。今後もスキマ時間に自発的に学ぶことを奨励しつつ、新たな手法・ツールなどの活用も検討していきたいと語ってくれました。

取材協力
宮代昌秀(みやしろ まさひで)さん
八丈ビューホテル株式会社取締役支配人。
八丈島に移住して20年。地域あっての旅館業であると八丈島観光協会を創設し代表理事として島の発展に貢献。その後も、日本旅館協会東京支部副支部長、東京都ホテル旅館生活衛生同業組合理事、八丈島旅館組合組合長などを務め、各組織の活動を牽引している。
http://www.hachijo-v.co.jp/

パートナーズラーニング
従業員の育成課題解決をサポートする宿泊施設・飲食店・美容サロン向けeラーニングサービス。プロが監修する研修動画を、スマートフォンやPCから「いつでも」「どこでも」視聴できる。各従業員の学習進捗も専用ページから閲覧可能。

2019.7.31

経営ノウハウ