従業員満足度を高めた、助成金の活用事例紹介
【社労士が教える、美容サロンの賢い助成金活用】

『美容サロンが「人材採用と育成」に活用したい助成金とは?』の記事では、「キャリアアップ助成金」と「人材開発支援助成金」についての概要をお伝えしました。実際にこれらの助成金を活用することで、どのようなことが実現できたのでしょうか。今回は、美容サロンの助成金申請をサポートする社会保険労務士(以下、社労士)の永野 綾さんに、受給事例を教えていただきました。

取材にご協力いただきました
永野 綾(ながの あや)さん

社会保険労務士法人リタ代表社会保険労務士。
労務トラブルの不安解消、人事労務管理のIT化、助成金の申請等の負担やコストを極力減らした形での実現を目指している。
連絡先:03-6436-7097

「キャリアアップ助成金」申請をきっかけに、人事・労務環境を整備

永野さんが担当した従業員数20名ほどの美容室では、新たに従業員を採用するにあたって「キャリアアップ助成金」の“正社員化コース”を活用することにしました。助成金の申請手続きには出勤簿や賃金台帳が必要なため、今まで手付かずだった労務環境を整備するのに良いきっかけになる、とその美容室の経営者は思ったそうです。
経営者が大変だったのは、今までおざなりにしていた勤怠管理を徹底することでした。出勤簿をつけることを「めんどくさい」「作業が増えた」と捉える従業員もいたため、労働時間を管理することが結果的に従業員や会社のためになる、ということを伝えていったそうです。就業規則も同時に見直し、労務環境の整備を行ったことで採用にあたっての条件をクリアにすることもできました。新人が入り、後輩ができたことで既存の従業員の活躍の場も増え、活気のある職場になったそうです。
結果的に1名を正社員雇用したことで72万円*支給されましたが、店舗拡大を目指すこの美容室にとっては「人事・労務環境の整備」で得られたメリットの方が大きかった、と社労士の永野さんは言います。
*「生産性要件」を満たした場合の金額

「人材開発支援助成金」活用で研修を充実

新たに従業員を採用できたとしても、育成する時間も費用も十分にかけられないのが実情です。ある従業員数10名ほどの美容室では、新人を採用した際に「人材開発支援助成金」の“特別育成訓練コース”を活用しました。申請に必要な訓練日誌を毎日つけることで、一日の振り返りに活用できるだけでなく、OJTとコミュニケーションがしっかり取れたことで新人の不安も解消し、モチベーションもアップできたそうです。売上を伸ばせるようになるには時間がかかりますが、助成金が入ることで経営者にも心の余裕ができたと言います。

また、毎年新入社員を20名ほど採用するアイラッシュ・エステサロンは、費用の関係から本社での新人研修を2週間程度で終わらせてから各店舗に配属していたそうですが、「もっと基礎を学んでから配属してほしい」といった現場からの要望が絶えなかったそうです。そこで、同じく“特別育成訓練コース”の助成金を活用し、外部から講師を呼ぶなどして研修を充実させたところ、新入社員からも受け入れ店舗からも満足度が上がったそうです。

助成金申請のためには人事・労務環境を整備し、受給目的を明確にする必要があります。どのように従業員を育成していくのか、などの計画を立てることで会社のビジョンがはっきりしてきます。申請におけるプロセスが結果的に今後の店舗経営に役立つことになります。
「皆さん助成金をあてにして店舗経営をしている訳ではありませんが、受給することで気持ちに余裕も生まれます。職場環境の見直しにも、助成金申請は良い機会ではないでしょうか」と永野さんは言います。この機会に、皆さんも活用を検討してみてはいかがでしょうか。

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高山 しのぶ(たかやま しのぶ)
この記事は私が書きました
高山 しのぶ(たかやま しのぶ)さん

美術大学卒。デザイン職を経て、輸入玩具を扱う専門商社と教育系出版社で幼児向けサービス・商品開発やマーケティング業務に従事。現在は、デザイン・サービス開発を通して培った“聞き取り力”を武器に、業界を問わず幅広いテーマでライター・エディターとして活動中。

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