「いいクチコミ」を増やすために明日からできることは?
【リクルートのCSエキスパートに聞く、宿泊施設のクチコミ対策】

旅行検討者が宿泊施設を選ぶにあたり、クチコミ点数は重要な役割を果たします。いいクチコミとは予約サイトの情報ページに掲載した内容に、いわば「体験者からのお墨付き」を与えるようなもの。今回は、リクルートで25年間CS(顧客満足)対応に従事するクチコミ対応のエキスパート・山田修司さんに、「いいクチコミを増やすためにできること」について伺いました。

狙ったクチコミが投稿されることはほぼない

山田さんは日頃から「クチコミ点数を上げるためのテクニックを教えてほしい」というアドバイスを求められることが多いそうです。しかし、「クチコミ創出を狙った施策が奏功することは少なく、たとえ奏功して一時的な売上につながることはあっても、長期的な利益にはつながらない」と山田さんは指摘します。
「そもそもクチコミ創出を狙って設備や備品などを工夫しても、お客様はあまり褒めてくれません。他にもいい設備や備品を持つ宿泊施設はたくさんあるため、それは『その宿でしか得られない体験』にはならないからです。そこに労力やお金をかけるよりも、やるべきことは『おもてなし』です」

従業員同士の良好な関係がいいクチコミを生む

クチコミ点数が高い宿に共通するのは、従業員同士の関係が良好で、連携してお客様一人ひとりをおもてなししている点です。たとえば山田さんの知り合いで左利きの人があるホテルで食事をした際、お箸の先が右向きに配膳されていて感動したそうです。その人は自ら左利きだと伝えたわけではなく、チェックインの際に左手でペンを持つのを見たフロント係がその情報をレストランに伝え、それがレストランスタッフ内で共有されたのです。今ではその地域に行くと必ずそのホテルに宿泊するそうです。
従業員同士の関係を良くするために今からできることとして山田さんが挙げるのは、従業員同士のあいさつ、ゴミ拾い、バックヤードのコピー機の紙やポットの水を補充しておくなどの基本的な行動です。
「これができているということは、同僚を思いやることができているということ。同僚を思いやることができると職場の人間関係は良くなり、コミュニケーションがスムーズになります。ここで大事なのは、経営層がお客様満足度を上げる方針をきちんと示し、トップ・リーダー層が上記の基本的な行動を率先して行うことです。そうすることで、従業員の行動も変わってきます。また、CS委員会などを作って満足するのではなく、従業員一人ひとりに『自分ごと化』して考えさせることも重要です。そうして従業員の業務のなかに『お客様のことを考える時間』を組み込むことで、『機械的にこなす』対応ではなく、お客様一人ひとりに対するおもてなしが実現するのです」

次回は「悪いクチコミへの対応策」についてお伝えします。

取材協力
山田修司(やまだ しゅうじ)さん
1992年リクルート(現リクルートライフスタイル)入社。1994年より読者相談窓口の担当となり、以来25年間さまざまな媒体のカスタマー相談業務に従事。現在は、CS(顧客満足)とES(従業員満足)に関する最新の事例や理論を学んで共有しあう場である『CSカレッジ』の長として、年間50件を超える講演や勉強会を実施している。
https://www.recruit-lifestyle.co.jp/company/cs/college

2019.8.1

経営ノウハウ