「悪いクチコミ」を抑えるには?
【リクルートのCSエキスパートに聞く、宿泊施設のクチコミ対策】

前回の記事では「いいクチコミの増やし方」についてお伝えしましたが、いいクチコミを増やすと同時に、悪いクチコミは極力減らしていきたいもの。今回も、リクルートで25年間CS(顧客満足)対応に従事するクチコミ対応のエキスパート・山田修司さんに、悪いクチコミが書かれる原因とその対策について教えていただきました。

取材にご協力いただきました
山田修司(やまだ しゅうじ)さん

1992年リクルート(現リクルートライフスタイル)入社。1994年より読者相談窓口の担当となり、以来25年間さまざまな媒体のカスタマー相談業務に従事。現在は、CS(顧客満足)とES(従業員満足)に関する最新の事例や理論を学んで共有しあう場である『CSカレッジ』の長として、年間50件を超える講演や勉強会を実施している。

ワインの宿に対して書かれた「焼酎がない」

10年程前、ワインソムリエが経営するペンションに「焼酎が置いてなくてがっかりした」というクチコミが投稿されたことがあります。本来であれば焼酎を求めるお客様は「招かざる客」なのですが、「ここは『ワイン好き』のための宿で、ワイン以外の酒を置いていない」というメッセージを予約サイトで明確にしていなかったことが、「宿」と「客」のミスマッチを生み、それが悪いクチコミを生んでしまったのです。

「来てほしくない客」を明確にする

本来、宿泊施設というのは在庫数が明確な商売であり、基本的に幅広い集客は必要ないはずです。そのため、「本当に来てほしい客はどんな人か」を考えて「お客様像」を作り、その人に絞った集客コンテンツを作るのが重要です。
同時に行いたいのは「来てほしくない客はどんな人か」も明確にし、その人たちを呼び寄せてしまうような情報や表現は排除していくことです。「本当に来てほしい客」を「招かざる客」の悪いクチコミで逃すことがあってはなりません。短期的な売上ではなく、長期的な利益を見据えて考えましょう。

「理不尽なクチコミ」には正々堂々と対応を

山田さんは「理不尽なクチコミ」や「招かざる客からの不満」に対して「あなたのための宿ではない」と返信してOKだと言います。ある関東の温泉ホテルは、「招かざる客」からの悪いクチコミに対し、内容を受け止めた上で「当ホテルは万人向けの宿ではありません」と丁寧に返信しており、クチコミ総合点数は5点満点で4.0点と安定した評価を獲得し、堅調な集客を維持しています。もちろん感情的になって乱暴な言葉で返信するのは論外ですが、正々堂々と「ミスマッチ」を認めることは「本当に来てほしい客」に安心感を与えることにもなります。

お客様からのご指摘を活かすために

もし「本当に来てほしい客」からのご指摘があった場合は、トップ層がクチコミの内容を経営課題として認識し対応策を考えること。クチコミ評価会議など、クチコミ内容を定期的に共有する場があればなおよいでしょう。前回の記事でも書いたように、経営層が「お客様満足度を上げる」方針を示し、それを実行しようとする姿勢を示すことが従業員を動かすことにもつながります。お客様がクチコミを書く心理の裏側には、「応援したい」「気づいたことを教えてあげたい」という気持ちがあります。その気持ちに応えて、長いお付き合いを生むことが、長期的な利益へとつながるのです。

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Yuna Park(ユナ・パク)
この記事は私が書きました
Yuna Park(ユナ・パク)さん

教材・結婚情報誌の編集・企画業務を経て、サンフランシスコのUXデザインコンサルティング会社で社内外のコンテンツマーケティングの統括責任者を務めた経歴を持つ。現在は独立しライター・マーケティングコンサルタントとして活動中。

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