借入れ交渉を優位に進めるためのコツ
【借入れに向けた準備と交渉術・後編】

前編では、「相手を知る」すなわち銀行など融資する側の実態や思惑を理解した上で、借入れ準備を進める大切さをお伝えしました。後編では、さらに一歩踏み込み、いざ借入れを申し込んだ際に発生する様々な場面で、少しでも交渉を優位に進めるためのコツをお伝えします。

最初に決裁権限保持者に会おう

銀行によって、あるいは借入れを希望する金額によって、決裁者は異なります。銀行の場合、大きな支店であれば支店内の部課長で決裁できるケースもある一方、たとえ少額でも例外なく全案件が本店審査部に上がる支店もあるでしょう。
できることなら、早い段階で自分が希望する借入れ額の決裁権限保持者を確認し、その人と直接交渉ができる状態を作りましょう。そうすることで、本人の意図が正しく伝わりますし、プロセスに要する時間も短縮できるでしょう。

2つの顔を使い分けよう

事業を始めた時には特に強い「思い」があり、銀行員との交渉においても、つい思いを熱く語りたくなるかもしれません。経営者本人に「その事業をやりきる覚悟があるか否か」は、銀行側も気にしている大事なポイントの一つです。自身の思いは大いに語ってください。
しかし一方で、前編でもお伝えした通り、銀行員が究極的に気にするのは経営者の思い以上に「支払い能力=倒産させない力」です。自身の事業に賭ける思いは大切にしつつも、支払い能力についても冷静かつ論理的に説明できる。いわゆる「2つの顔」を使い分けて交渉すれば、借入れ成功率は高まることでしょう。

パワーポイントとメモ欄を上手に活用しよう

借入れ時の説明や交渉に、パワーポイントで作成した事業計画資料を使いたい方も多いでしょう。銀行から要求される申込書以外の資料を作成する手間は、極力最小限にできるよう、既存資料を使うこと自体は有効な対処法です。
しかし、銀行内で回覧される稟議書の書式はパワーポイントでないことが多く、担当者がパワーポイントに基づいた皆さんからの説明内容を次第に忘れてしまうケースもあるでしょう。そのような場合に備え、各ページのメモ欄にコピー&ペーストすればそのまま稟議書に使える説明文を記入しておくと有効です。担当者の手間が大幅に削減できるだけではなく、事業への理解が深まり、きっと感謝されることでしょう。

事業を成長させるために資金は必要であり、できる限り賢く資金調達することは経営者に必要な手腕の一つです。今回ご紹介したコツもうまく活用しながら、自社にとって最適な借入れを進めていけると良いですね。

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森 暁郎(もり あきお)
この記事は私が書きました
森 暁郎(もり あきお)さん

慶應義塾大学経済学部卒業。コロンビア大学経営大学院修士課程修了(MBA)。メガバンクの赤坂支店で中小企業向け融資を担当。その後NY支店にて買収ファイナンス等に従事。MBA取得後はGE Japanにて大型の買収案件を手掛けた後、現在は社会人向けの経営大学院にてカネ系科目の教員を務めながら、複数の中小企業の経営に参画。

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