借金で不幸にならないために
わかっておきたい「お金の借りどき」

「事業成長のためにお金を借りることが重要だということはわかっているが、いつ借りたらいいのだろうか?」こんな疑問を持つ店舗経営者は多いのではないでしょうか。よく聞くのは「事業がうまくいっているとき」ですが、そうとは限らないと指摘するのは多くの店舗をコンサルティングしてきた税理士の伊原裕伸さんです。伊原さんいわく、お金を借りるタイミングは、経営者が返済に対して正しい意識を持てたとき。本記事では、その言葉の意味を詳しく見ていきましょう。

取材にご協力いただきました
伊原裕伸(いはら ゆしん)さん

税理士。甲南会計事務所業務部長。「税理士=経営者にとっての専門家の友人」というスタンスで、美容室のほかクリニック・介護福祉業・一般企業等様々な企業への支援を行う。税理士でありながらミュージシャンとしても活動しているため、「お金管理」と「クリエイティブ」という両極端な思考を両立させるコンサルティングが得意。

「いいとき」の想定で計画を立てて失敗

まず伊原さんが教えてくれたのは、借入れで失敗した旅館の事例です。もともと大型の宴会利用のお客様が多かったその旅館は、施設を豪華に大改装した後も、宿泊単価を上げずとも引き続き大型宴会需要で利益を出せるという見込みを立てていました。当時借入れをしていた銀行からも「当面利息だけの返済で良い」と言われていたため、その言葉通り利息分しか返済していなかったばかりか「節税」という名の下どんどんお金を使ってしまったそうです。しかし時代は変わるもので、宴会利用のお客様は徐々に減少し、気づけば「残債はそのまま残っているが手元に資金がない」という状態になってしまいました。あるとき銀行から残債の返済を迫られ、そこで事業が破綻したのです。

伊原さん

楽観的な計画しか立てられないのなら、まだ「借りどき」ではありません!

「悪いとき」を想定した借入れで成功

別の事例もあります。伊原さんが手掛けた和菓子加工店は、もともと工場で加工したものを他社に卸していましたが、店舗を構えて自社でも販売することにしたのです。そのためにお金を借りることを検討した際、伊原さんと社長が考えたのは「店舗がなくても返せる計画」です。もちろん「店舗を出すからお金を借りる」わけなのですが、その店舗で最初から利益が出るとは限りません。そこで、必要な額を長期で借りることで、月々の返済額を工場の利益からでも支払えるように抑えたのです。実際に店舗を出してみると、最初の1~2年目の業績がとても悪く、もし短期で借りていたら資金がショートしただろうと伊原さんは振り返ります。

伊原さん

「業績が悪くても返済できる」という計画が立てられたら借りても大丈夫!

まずは試算した返済額を毎月貯めてみる

「借りたお金を返す」という正しい意識をきちんと持てるのであれば、借入れ自体は積極的に活用したいもの。しかし伊原さんがこれまで見てきた失敗例の多くは「借金をきちんと返していく」という意識が足りないことに起因しているそうです。そこで、正しい意識を身に付ける方法として伊原さんがおすすめするのは、業績に関係なく毎月決まった額を捻出して貯める癖をつけること。そうすると、悪いときにも一定額を返すということがどういうことなのかリアルにイメージできるからです。リクルートの法人向け融資『パートナーズローン』のWEBサイトでは返済額のシミュレーションが気軽にできるので、そこで試算した月々の返済額を貯めてみることから始めるのもおすすめです。

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Yuna Park(ユナ・パク)
この記事は私が書きました
Yuna Park(ユナ・パク)さん

教材・結婚情報誌の編集・企画業務を経て、サンフランシスコのUXデザインコンサルティング会社で社内外のコンテンツマーケティングの統括責任者を務めた経歴を持つ。現在は独立しライター・マーケティングコンサルタントとして活動中。

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