飲食店経営が難しいと言われる理由と、
その対策とは?

飲食店は他の業種よりも経営が難しいと言われています。大手チェーン店の存在や食の多様化により、今後飲食店経営はますます難しくなるでしょう。今回は、飲食店経営がなぜ難しいかを改めて説明し、そのために今から対策できることをご紹介します。

飲食店経営の厳しい現状

飲食店経営の厳しさをデータから見てみましょう。
日本政策金融公庫の2016年新規開業パネル調査によると、2011年に存続していた飲食店のうち、2015年末時点の飲食店の廃業率は18.9%となっています。約1/5の飲食店が5年のうちに廃業しているのです。2011年に存続していた企業の2015年末時点の廃業率は10.2%となっており、全業種の中で最も廃業率が高いのが飲食業(18.9%)、2番目が情報通信業(15.8%)、3番目が小売業(14.5%)と、飲食店の廃業率の高さが伺えるでしょう。
飲食店の数にも変化があります。中小企業庁によると、2009年には507,375件あった飲食店(個人事業)が、2014年には436,230件と数を落としています。

飲食店経営が難しいと言われる3つの理由

1. 社会的側面

社会的側面から見ると、「大手チェーンの存在」と「食の多様化」が飲食店経営が難しいと言われる理由として考えられます。
大手チェーン店には資金力もノウハウもあります。例えば、材料の仕入れにおいては質の高いものを大量に購入することで仕入れ値を安く抑えることができるのです。さらに、顧客は知らないお店よりネームバリューのある、知っているお店に入店しやすい傾向があります。この点でも、個人経営の飲食店は大手チェーン店よりも不利な立場です。
また、食の多様化により、飲食店で食事をしない人が増えています。コンビニでのイートイン、スーパーのお惣菜コーナーの充実、カップ麺の豊富なラインナップ、ドラッグストアでの食品販売、インターネットでの食品購入など、手軽に食事が手に入る時代になり、飲食店は工夫を凝らしていかないと生き残れなくなっています。

2. 労働環境面

「人手不足」「長時間労働」「休みの少なさ」など、労働環境も飲食店経営が難しいと言われる理由の一つです。
飲食店は常に人手不足です。サービス業であるため、どうしてもお客様が退店しないと店を閉めることができず、長時間労働に繋がってしまうケースがあります。休みも少なく、特に今の若い人を雇用するには難しいものがあります。これらを改善するにはできる限り働きやすい職場環境にし、従業員が気持ちよく働けるような環境を作ることが大切です。

3. 金銭面

金銭面での問題としては、「初期投資額」「売上/利益の限界」「膨大な経費」「在庫管理の難しさ」などが挙げられます。
飲食店経営は他の業種よりもかかる経費が大きいです。そのため、経費がかかることをしっかりと意識して経営することが大切です。初期投資額は、中古やリース、DIYで工夫をして抑えることができます。また、集客の工夫により売上を伸ばし、仕入れ先の工夫により経費を削減し、利益向上に繋げることができます。他の膨大な経費も一つずつ工夫していけば、ある程度はコストカットが可能です。在庫管理も慣れてくればコントロールできるようになるでしょう。

飲食店を経営するなら考えておきたい9つのポイント

厳しい現状を踏まえ、飲食店を経営するなら以下の9点を意識しておきましょう。

飲食店を経営するなら考えておきたい9つのポイント

1. 事業計画の作成

事業計画を作らなくとも経営は可能ですが、事業計画を作っておかないと成功しているか失敗しているかは通帳の残高くらいでしか確認のしようがありません。
通帳の残高は、負債が広がった場合も増えます。仮に1,000万円の残高があっても、銀行からの借入金が800万円の場合、実質手元にあるのは200万円のみということです。
目の前に1,000万円の通帳残が見えてしまうと資金が余分にあると勘違いし、無駄な経費をかけてしまうこともあるでしょう。このような勘違いを無くすためにも、毎月試算表を作成し経営状況を正確に把握できるようにしておきましょう。

2. 初期コストの抑制と回収計画

初期コストは、何も考えずに進めてしまうと必要以上にかかってしまいかねません。中古でも問題ない時は中古を、場合によってはDIYを検討しましょう。まとまったお金がないならリースを利用し、テナントを利用する時の保証料などもどんどん値下げ交渉しましょう。
かかった初期コストの回収方法も考えておかないといけません。いつまでに回収するのか、最初から計画を立てておくべきです。初期コストの回収がうまくいかなくなると、日々の事業にも影響が出てしまいます。

3. 資金調達方法

借入れが必要な場合、基本的には銀行かノンバンクのどちらかから資金を借りることになります。借入時には予め借入金額や返済方法などの計画をしておきましょう。また、金利の面でも最初からどれくらいの利率で借りることができるか把握しておけば、計画も立てやすいでしょう。
銀行とノンバンクではそれぞれメリット・デメリットがあります。銀行のメリットは金利が低い点、デメリットは融資の審査が厳しく、さらに融資の実行まで時間がかかる点です。ノンバンクのメリットは融資の審査が銀行に比べて緩く、融資の実行も銀行に比べて早い点です。デメリットとしては金利が高い点が挙げられます。
融資までの時間に余裕があるかどうかなどの状況に応じて、銀行から融資を受けるのか、ノンバンクから融資を受けるのか検討しましょう。

4. 競合/客層の調査

飲食店経営の前に競合他店を調べておきましょう。また、客層も調査しておけば、どのようなメニューが喜ばれるか予測できることもあります。
若い人が中心の客層であればボリュームや濃い味付けが好まれる傾向にありますし、女性であればデザートに力を入れた方が良いかもしれません。年配の客層が多ければ、量よりも質にこだわった方が良いでしょう。どのような客層がいるかを調査すれば、よりお客様に喜ばれる店に近づけます。

5. メニュー開発

一度作ったメニューをずっと変えずにいると飽きられてしまう可能性もあります。日々、新しいメニューについて考えておくようにしてください。もちろん、あまり頻繫に変えるのも良くありません。看板メニューには手を付けず、サイドメニューなど変更しやすいものから変えていきましょう。

6. 物件探し

どれだけ素晴らしい料理を提供しようにも、物件がないと飲食店はスタートできません。立地、賃料、間取りなど十分に吟味してから決めましょう。

7. 販促ツール

可能な限り集客にも力を入れましょう。SNSにお店の写真や情報を投稿したり、自身で無料ツールを利用してホームページやブログを開設したりするなど、時間や予算が限られている中でも工夫をすることが大切です。

8. 仕入れ先

安い値段につられて質の低い材料を提供すると、お客様は敏感に分かってしまいます。かけられるコストと料理の質とのバランスを考えましょう。

9. 人材確保

良い人材が見つかれば、正当な給料を出し、他社に流れてしまわないように注意しましょう。また、従業員の不満があれば真摯に耳を傾け、できる限り対応した方が良いでしょう。

飲食店経営は確かに難しいですが、地道に対策していけば解決できることも沢山あります。廃業率に惑わされず、開業当時のコンセプトを胸に刻みながら、できることから始めていきましょう。

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山本勧(やまもと すすむ)
この記事は私が書きました
山本 勧(やまもと すすむ)さん

不動産会社に5年勤務後、会計事務所に勤める。現在は独立し、フリーライターとして活躍。主に不動産関係やお金についての記事をメインで執筆。

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